2015.04.14

インタビュー:今津那奈子さん

所属:ドイツ証券株式会社

役職:株式会社営業統括部

年齢:30歳

セクシュアリティ:レズビアン

インタビュー日:2015年04月09日

今津那奈子さん

イマヅナナコ

出身歴: 山口県で生まれ、山口県で育つ。大学時代にイギリスに留学。現在、東京都在住。

キャリアパスが男女平等な外資系証券が魅力的

私は、初めてカミングアウトしたのは、20歳ぐらいです。

でも、そうかもなって思ったのは小学生くらいですね。
ただ、その頃は確固たる自覚もなくカミングアウトはしていなくて、大学生時代にロンドンに行ったときに「私はレズビアンなんだ」と確信して、そのあとからカミングアウトをはじめました。

セクシュアリティを受け入れる上での葛藤はなかったのですが、でも漠然と、”普通”の結婚ができないなあと思いました。だから「頑張って稼がなきゃ」って感じていました。

就職活動の際は、入社時は男女比率が同じでも、キャリアパスの中で女性が結婚などを機に退社せざるを得ない会社では、働きづらいのではと思ったから、そういう意味では平等な外資系証券っていうのがいちばん魅力的でした。

 

仲良くなってしまえば、セクシュアリティじゃなくて性格や人間性で見てくれる

就職活動はたくさんしましたが、結局はインターンを1年間していた証券会社に就職することにしました。

この業界の一年目って、すごく忙しいんですよ。
1年目の私の仕事は、レポートをプリントアウトとするとかの事務作業が主なのですが、トレーダーが6時すぎに会社にやってくるので、その前に彼らの机の上に今日のレポートを置かないといけない。
そういう仕事だったので毎朝6時前には出社して、帰りも遅くまでやっていたので、本当にがむしゃらに働いていました。

だから恋愛の話とか自分自身のプライベートのこととかあまり社内で話すタイミングがなくて、そういうこともあってカミングアウトはしていませんでした。

“社会人”にあまり慣れてなかったっていうのもあって、普通の社会人ってどれくらい会社の人と密にプライベートのことを話しているのかもよく分からなかったですし、1年目は探り探りって感じでした。
そのうちに会社の人とも仲良くなっていって、少しずつカミングアウトを始めました。

その後、彼女ができてからは、会社の人に彼女を紹介できるようになりました。取引先の仲の良いお客さんとも一緒に会食もすることもありました(笑)。
紹介した際にマイナスな反応を受けたことはなかったです。仲良くなってしまえばそこは私のセクシュアリティじゃなくて性格や人間性で見てくれるのかなって、思っています。

 

現在は転職し、ドイツ証券株式会社で働いています。
グローバルバンクで働いてみたいと思っていた時に、たまたまいいお話があって、条件があったので。

現在カミングアウトをして働いていますが、社内にもカミングアウトしている人たちもたくさんいますし、今の会社で不便を感じたことはないですね。

仕事は忙しいですが、本業を頑張りながらも、傍らで自分のやりたいことをやるパラレルキャリアという形が取れればいいなと思ってます。

証券会社は出社も退社も早いのですが、自由時間で好きなことをやることが理想です。
現在はずっとやりたかったバーを私が出資して、彼女が運営するという形でやっています。

今後はバーの運営に付随してイベントや空間づくり、デザインなどへも可能性を広げていければいいなと考えています。

こういったことをやりつつ会社では一生懸命働いて、週末はサーフィンをして体を動かしてリフレッシュできればバランスとれていていいな、と思います。

 

就活のために、なにかをやらなくてもいい

あまり取り繕ってもばれてしまうので、自分の土俵で勝負するのが一番いいと思います。

就職活動の面接のときに例えば、「自分はボランティア活動をしていて」という方も多いと思いますが、もしかしたら前に来た人も、後から来た人も同じようなことを言っているかもしれないし、面接官も「ああ、またその話ね」みたいになっちゃうかもしれないですよね。
だから無理に「就活のために」なにかやらなくていいと思うし、本当に自分が「やってよかったな」って思えることをやったらいいと思います。

でもその中で、自分のやっていることに対して理由を見つけるのって大事ですよね。
例えば、ずっとだらだらして過ごしていたとしても、「なんでだらだらしてたのか」ってことをちゃんと説明できるようにするとか。例えば本とかまんがをたくさん読んでいたとか、音楽を一日中聴いていた経験があるとしたら、就活の時は「なんでそこを極めたかったのか」ってところを、説明することが重要と思います。面接官はそのエネルギーを仕事に使うっていう風に解釈してくれると思うので、自分が今まで好きでやってきたことの説明づけさえできればやりたくないことを無理にやらなくていいんじゃないのかな。
今の時期しかできないことを大事にしてほしいと思います。

 

「考えても詰まっちゃうからとりあえずやってみる」

はたらく上で、セクシュアリティに関して不安があるのであれば、実際にインターンをするのがいいんじゃないかな、と思います。

現実感がないと、「働くってどういうことだろう」と不安ばっかりが募っちゃうけれど、働いてみると、セクシュアリティは自分が思っているより重要じゃないと気づけるかなと思います。
ただ、もしかしたら私も日本の会社で働いたことがないからそうやって思うのかもしれないですね。

いろんな会社を受けてみるのがいいですよね。受けてみて、実際にインターンシップもして。

やりたい仕事って学生の時はあまり分からない人が多いのかなと思います。
私も、社会人になってからもやりたいことが変わったし、私の周りでも、最初は銀行にはいって、その次にコンサル企業にはいって、今は起業している人もいて。だから、一社目に入った会社で一生働かないといけないわけじゃないし、上司がずっと一緒ってわけでもないし、ずっと同じ人たちと働くってわけでもないから、いろいろ経験するのが手っ取り早いんじゃないですかね。
考えても詰まっちゃうから、とりあえずやってみるっていうのが、私の考え方です。

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