2016.02.10

インタビュー:金藤達紀さん

所属:ユニリーバ・ジャパン

役職:マーケティング-ブランドビルディング ブランドアシスタント

年齢:25歳

セクシュアリティ:ゲイ

インタビュー日:2016年01月21日

金藤達紀さん

コンドウタツキ

違うことは魅力なことだと思います

私は、ゲイであるというセクシュアリティも含めて「自分」が好きです。こう思えるようになった背景は2つあると思っています。

まず1つ目は、ピアノの先生の存在です。
私は、5歳から現在までピアノを習っていて、その先生とは家族同然の付き合いをしていただいています。そして、高校1年生の時、先生にカミングアウトをしました。私にとって初めてのカミングアウトでした。私は中高男子校で過ごしていたのですが、そこでの出来事を話していくうちに先生は私がゲイだと気が付いたそうです。
先生に聞かれた時、「ゲイであることを話したら今後どうなってしまうのだろうか。」と一瞬不安に思いました。
しかし、先生は理解のある態度で接してくれていたので、迷いながらも打ち明けようと決心しました。
その結果、「ゲイであることも全部含めて魅力的な人間だと思う。私の自慢の生徒だ。」と言ってくれて、先生は私の良き理解者となりました。

次に2つ目は、アメリカでの経験です。私は、小学1年生から4年生までアメリカに滞在していました。
学校では、質問されたら全員が手を挙げるような環境だったので、自然と自分の個性をアピールするようになりました。
また、加えて親の教育も大きかったと思います。「人と肩を並べてどうする」という考えのもと育てられたこともあり、人と違うことは魅力的なんだと思えるようになりました。

 

時代を追うごとにLGBTが「当たり前」になってきました

私は徐々にセクシュアリティにオープンになっていきました。

中学時代にはほとんどの人に言ってなかったのですが、高校時代には一部の人にカミングアウトして、大学時代は更に多くの人が、私のことをセクシュアリティも含めて知っていました。というのは、時代の変化につれてLGBTの存在も「いて当たり前」になってきていると感じているからです。

私は中高大ずっとテニスに打ち込んでおり、大学ではテニスサークルに所属していたのですが、特に大学では多くの人が私のことを理解してくれていましたし、さらにユニリーバではほぼ全ての人がゲイであることに何の違和感もなく接してくれていて、環境に恵まれていると思います。

けれども、時と場合によって言う必要がないと思ったときは言っていませんし、まだまだ理解のない人がたくさんいるのも事実なので、人を見極めてカミングアウトしています。

自分がその時に良いと思う選択をすることが大切だと思いますし、その選択を後押ししてくれる理解者がいることも大きな支えになると思います。私の場合、環境や人にも恵まれ、より自分らしく生きることができるようになってきているので、とても感謝しています。

 

個性を活かせる会社に入社して、より前向きになっていきました

私は現在、マーケティングで働いています。働く上で、私のセクシュアリティは1つの個性として武器になっていると感じることも多いです。

他者とはまた異なった視点から物事を見ることができることを、周りが前向きにとらえてくれることはとてもありがたいです。

そして、そうした環境の中で、自分なりにリーダーシップを発揮してプロジェクトを進めていることも自信になっています。
例えば、以前携わっていたプロジェクトでは短期間で多くの物事を決め、進めなければならないものもありました。その中で、私は自分の責任範囲以外だとしても、それがプロジェクトに必要だと感じたら率先して行い、チームメンバーを鼓舞することで貢献できたと思っています。

私にとってユニリーバは、ゲイであることを前向きにとらえながら、自分の個性を活かしていける会社だと感じています。

あと、余談ではあるのですが、実はユニリーバの採用面接時、セクシュアリティを見抜かれたことがありました(笑)。
面接官に、「うちの製品はストレート向けだけど大丈夫ですか。」と聞かれたのです。私は特にセクシュアリティのことを言っていなかったので、とても驚きました。
それに対して、私は「セクシュアリティにかかわらず、客観的に見ることができるので大丈夫だと思います。」と答えました。
すると、これは後日別の方から聞いた話なのですが、その面接官が面接の後、「良い個性を持っている。うちに欲しい。」と言ってくれていたそうなのです。実際にそのまま面接は進み、内定をいただきました。

他にも企業は受けていたのですが、ユニリーバはゲイであることに対して変に気遣ったりすることなく、良い意味で無頓着で、すごくフェアな企業だなと思いましたし、ここまでオープンに「あなたを知りたい。」と言ってくれた企業は初めてだったので、ユニリーバに入社することを決めました。

 

自分がゼロから作ったブランドを世の中に残したいです

いつか必ず自分が手掛けたブランドを生み出したいと考えています。
今はまだそれを何の業界で、どこで実現するかは分かりませんが、人から必要とされるものがいいですね。もし、今後ゲイをターゲットにした製品の需要が伸びるならやりたいと思いますが、特にそこにこだわりはありません。

夢は叶うと信じています。ユニリーバで学べることは全て学びたいと思っています。現在も、企業の中でこれがやりたいと言い続けています。

マーケティングの中にはローカルチームとグローバルチームの2つが存在するのですが、私はもともとローカルチームのみに所属していました。
でも、グローバルチームに興味があると会社に伝えていた結果、兼任させてもらったこともありました。やりたいことをやらせてくれる文化がユニリーバにはあります。
これは、属性や年齢にかかわらず1人の人として見てくれる社風によるものだと思います。3年目だからこの仕事ができるということではなく、金藤だからこの仕事ができるという考えで接してくれるので非常にやり甲斐も感じています。

 

自分らしく働ける企業を見つけて欲しいです

LGBTに関わらず、就職活動は個性を発揮して意見を言ったもの勝ちだと思います。

私は、3つの軸で就職活動を行いました。

1つ目は美容に関わること。中学生の時からアトピー性皮膚炎で悩んでいたため、スキンケアに関心がありました。昼食代やお小遣いを切り詰めてスキンケア製品を買っていたほど、昔から美容に対する関心は強かったです。

2つ目はマーケティング。ピアノとテニスを習っていた私は、自然と「人が何を考えているのか、意図しているのか」を汲み取るよう心がけるようになりました。ピアノならば作曲家の、テニスならば対戦相手の考えを理解しなければ質の高いパフォーマンスを出せないためです。それらの経験がきっかけとなって、同じように人の思考を理解し、それに対してアイデアを形にして応えていく仕事がしたいと思うようになり、マーケティングがやりたいと考えるようになりました。

3つ目は外資系企業です。海外に住んでいたこともあり、自分の個性を尊重してくれて、仕事をどんどん任せてくれる企業で働きたいと思いました。

 

現在はゲイであることが働く上で強みになっていますが、企業によってそれをどう捉えるかは異なるように思います。私はぜひプラスに捉えてくれる企業で働いて欲しいと思います。どう捉えられるかで働き方は180度変わってきます。

自分を信じ、あなたにとってありのままで居られる企業を探して欲しいです。応援しています。

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