2016.04.3

【稲葉哲治氏が語る・前編】カレンダーでみる〝就活〟と〝採活〟の裏話

2016年3月28日、かながわ県民センターにおいて、LGBTキャリア支援セミナー@横浜が行われました。
ゲスト講師に稲葉哲治氏をお招きし、就職活動全体について、そして、稲葉氏自ら企業へアンケートをとった「LGBTの就活」についての2部構成でお話していただきました。

このレポート【前編】では、第1部:「就職活動&採用活動のカレンダーを知ろう!」でのお話を、イベントの様子を交えてお伝えします。

参加者は就活を控える学生、転職希望の社会人はもちろんのこと、内定先でLGBT支援を考えているので勉強のために参加したという方も。前方の稲葉氏を囲むように参加者が座っていき、開始前から自然と挨拶が行われるあたたかい雰囲気の中、本セミナーは幕を開けました。

 

「まず、企業側から語ります。」

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稲葉氏は自己紹介の後、
「就活系のセミナーって、面接のコツやエントリーシートの書き方なんかが多いかもしれないですけど、今日僕がやるのはちょっと違っています。
〝企業ってこういう風に考えていて、こう動いているよ〟というのと、それに合わせて自分がどう動いたらいいかをお話します。なので、まず企業側のことをちゃんと知ってもらう、ということからお話しようと思います。」
と穏やかに話し始めました。

 

最も大切なのは焦らないこと

「はじめに一番大切なこと、結論を言ってしまうと、最も大切なのは焦らないことだと思います。これから就活に関する情報がたくさん入って来たり、説明会があったり、周りで内定をとる人が出て来たりして焦りやすくなるんですけども、企業側の動きを把握出来ていれば、秋口や年明けにもチャンスはあるとわかります。そういう意味で気長に就職活動を進めてほしいなと思います。」

就活系のセミナーで「いかに内定を早く勝ち取るか?」といったテーマをよく耳にしますが、稲葉氏の切り口はそれとは全く逆のものでした。周りに流されず焦らないことが大切。そう聞いた参加者の表情には、安堵とやる気が浮かんだように見えました。
その後も、「インターンなど参加されましたか?」などと参加者に声をかけながら、柔らかく、格式ばらないセミナーが続きます。

 

〝就活〟の裏側に〝採活〟がある

①就職活動の解禁時期の再度の変更、②採用手法の多様化、③採用人数増、売り手市場、という採用活動を取り巻く状況の説明が赤裸々に語られました。
面接をなくす代わりに長期インターンを導入する企業が増えていたり、就活ナビを使わないダイレクトリクルーティングや、内定学生からの紹介からなるリフォーラルリクルーティングも多くなって来ているそとのこと。

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そして、就活生が就職活動をやるのと同様に、企業側にも〝採用活動(採活)〟があるとのこと。自分の就活だけでなく、企業の採活も頭に入れておけば、焦らずスムーズに就職活動が行えそうですね。そこで稲葉氏が作成したのがこちら。

 

就職活動&採用活動カレンダー

今回稲葉氏は、就活と採活、さらに学生のモチベーションをまとめたカレンダーを提示。
求人数(ピンク)内定がなかなかとれない学生のモチベーション(★マーク)が企業側のスケジュールと共に月ごとの変動で表されています。

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「このようにグラフが下がってくるのは、はじめはやる気があっても、何社もみているとわけわかんなくなってくるんですよね。」
就活生の立場に立った稲葉氏の説明は大変聞きやすいものでした。

「周りが内定をとってきて自分はまだ決まっていない、いわゆる『無い内定ブルー』に陥るのが例年は5月でしたが、今年は7月くらいになるのかなと思います。そして夏休みにやけになって遊んで、その後就活そのものが嫌になってしまう学生さんも多いんですが、僕はここ(夏休み以降)を一番頑張りましょう!と言いたいです。」

稲葉氏がこう語る根拠は、中小企業の採用のピークが7〜8月にあるからとのこと。また、10月に内定式があるものの、そこで内定辞退をする学生もいるため、追加募集として秋採用が行われることもあるそうです。
最初に稲葉氏が最も大切と語った「焦らない」ことの重要さが裏付けられます
さらにそれ以降もチャンスはある、と続きます。体育会系の学生を採りたい企業はスポーツ系の大会が終わる10月・11月に、2・3月にも採用人数に至らず追加募集を行う企業も少なくないそうです。

「12月以降に内定がないとテンションが下がりがちなんですが、そこを諦めないでほしい。たとえ企業の募集が終わっても、3月からはアルバイトの学生が卒業を機に辞めるのでフリーターの募集もあります。企業づとめだけでなく、フリーターだって別にかまわないと僕は思うわけです。就職活動って長いし大変なんですが、このカレンダーの☆マークのモチベーションにならないようにしましょう!秋以降に就活を始める学生もいるし、それも間違っているとは思いません。合う・合わないがあるので、自分のペースで就活に取り組んでください。

企業のペース、就活生ひとりひとりのペース、その幅の広さがこのカレンダーでしっかりと示されました。

 

後編へ続く!

さて、この前編では、カレンダーを中心に就職活動全体についての講義をレポートしました。
後編では、第2部:「人事はLGBTの就活をどう感じているの?」の様子をお送りします。参加者からの質問も飛び交い、さらに熱気溢れるセミナーとなります。次回の更新をお楽しみに。

(角 亜維子)

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